ヨットの修理
昔、友人のヨット屋さんに頼まれて、超豪華ヨット「スワン」の電動トイレの修理に行ったことがあります。私は別に修理業の仕事はしてないですが、助っ人ということで。日曜日に使ったらどうも不調になったらしい。月曜日に出動。
スワン! ほんま えー船!
マニュアルを見ながら(難儀な事に英文)、排出ポンプ周辺を全て分解。もちろんマスクをしてオペ用のゴム手袋をはめて外科医風。1時間ほどかかりました。
排出ポンプの前後のゴム製の逆止弁みたいなのが、やられてます。おそらく船底の吸水弁か排出弁をきちんと開けずに作動させた為に、異常な圧力がかかってやわらかいゴム製の弁が壊れたのでしょう。マリントイレは手順どおりに使わないとトラブルをすぐに起こすのです。トイレ使ったのはヨット素人のゲストでしょう。ゲストが来る前に、家のトイレみたいに使える状態に準備しておくべきだったんです。
これは取り寄せなければいけないので、パーツ番号記録。オフィスに携帯で電話してパーツ発注手配。
こんな完全オーバーホールは滅多にすることはないので、折角なのでトレイのパーツは全部洗浄。グリスアップもしておきます。パーツ交換があるので分解したままにしておきます。(このことはオーナーへ伝言してもらう手配。念のためメモ作成してキャビンに貼っておく)
しかし、モーター自体も動かない。もしかしてとテスターでチェックすると、電圧が出ません。ヒューズ飛んでるかも。ところがこのスワン、ヒューズボックスの場所が分からない。普通チャートテーブル周辺ですけどね。マニュアルに回路図は載ってますが、場所が載ってない。小一時間探すとなんと本棚の背板を外した後でした。(ここに隠してある意味は不明)
やっぱり、ヒューズ飛んでました。ヒューズ飛ぶからには、回路に問題ある可能性があるので、配線の抵抗測定、無問題。
おそらく弁の故障でモーターに異常負荷がかかり過電流流れてヒューズ溶断ってことでしょう。ヒューズ交換。モーター作動します。弁の交換パーツがないと直せないので本日の作業ここまで。都合3時間ほどの労働、これで1日分の日当なのでおいしいバイトではありますが、電動トイレの英文マニュアル、ヨットのマニュアルに載っている電気回路図、これを読み解かないとならないので、そうイージーではありませんでした。かなり疲れました。しかし、ヨット屋は複数の技能が必要ですね。マストトップに登る身体能力まで必要ですしね。
さてパーツが届く二日後に再度作業予定を入れます。
この修理だけで、パーツ代、工賃、二日分の人件費が必要ってわけです。
たぶん軽く5万円くらいの請求が発生しますね。
自分で直せば、パーツ代だけで済みます。まーもちろんスワンのオーナー(当然エクゼクティブ)の日給を考えたら他人に頼む方が安いです。
日本のヨットは週末ごとの稼動なので、次の週末までに直ればよいってことが大抵です。基本週単位で仕事が進むんです。
週末遊んでトラブル。業者が月曜日に訪艇。トラブル解析して修理段取り手配。
水曜~金曜に修理作業。
なので、日本でもこの業界は割と時間に緩いです。金曜日中に終われば全て良しなわけで。(だから金曜日が激忙)
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