西穂高岳登山 2010年5月29日~30日 その5 5/30 西穂独標~西穂高岳~西穂山荘~下山 脱水・ハンガーノック
ピラミッドピークから独標の眺め(上高地、大正池が綺麗に見えている)
独標からピラミッドピークへは最初に険しい場所を下降するのだが、その箇所の様子が良く分かると思う。人影が見える小ピーク(独標)から傾斜70度~80
度位の岩場を真っ直ぐに降りる。その後、瘠せた岩稜上を手前へ進んで来る。積雪期には、向かって右手の飛騨側から左手へ大きな雪庇が出る。
焼岳、さらにその先に乗鞍
独標 7:40 出発
8:20 ピラミッドピーク着
ピラミッドピークにて 後に西穂高岳(頂上の標柱がかすかに分かる)
ピラミッドピーク 8:40 出発
西穂高岳頂上直下の残雪。
この雪の横を直上して、雪の上をトラバースする。夏道のルートを示す丸印のペイントが画像で見えるが、ここから向かって左へ傾斜60度位の残雪上をトラ
バースする。数mのことではある。ここのためだけにピッケルを持ってきたが、トラバースの雪は柔らかく、踏み跡もはっきりしている。気温が高いので雪も柔
らかくキックステップで十分通過できる。しかし、気温が低ければアイスバーン。昼間ならピッケルはもう無くても平気。もちろん、それでもここで滑ればあの
世まで滑っていくことになる。雪はこの下へ岩場とミックスで数百m続いている。滑落すれば止まらないだろう。ピッケルがあっても滑落停止は相当に難しい。
滑ったらダメなポイント
西穂高岳 10:00 着
頂上で、サーモスのお湯で紅茶2杯。(360cc)
カルビーのフルーツグラノーラ1つ
私の後に到着したご夫婦がくれたリンゴ一切れ
アミノバイタル、塩飴、水200cc
西穂高岳 10:25出発
途中、短く休みつつドンドン下って
11:25 ピラミッドピーク
11:45 独標
独標から下が水切れ、シャリバテ症状も出始める。天気の良い日なので、やっぱり5時間強の行動で760ccの携帯では少ない。1.5リッターは持つべきだった。難場歩きでテンション高くつい休まず、行動食をあまり食べなかったのが良くなかった。
12:40 西穂山荘 着
かなり疲れていたので、コーラを買って飲み、サプリを飲み、飴などを食べ、しばし休憩。やや脱水の症状あり。朝5時にトイレに行ったきり、全くトイレに行きたくもならない。水分は全部汗で出たようだ。
その後、テント撤収、パッキングと下山準備にかかる。
ロープウェイの駅まで、コースタイム1時間だが、やや脱水気味なので、500ccのミネラルウォーターを購入。(後から考えると、普通の水を2リッターほど買って、しっかり給水、1時間の行動用に十分持つべきだった。1時間なら水なしでも泣き泣き行けると思っていた)
かなり疲労感あり。
13:45 西穂山荘 出発
かなりキツイ。500ccの水総て消費。
15:00 ロープウェイ西穂高口駅 着 下山届け提出
15:15発のロープウェイで下山。 登山完了
ロープウェイの中でも疲労感激しく、立っているのが辛い。明らかにシャリバテと脱水である。売店で「飛騨豚まん」「コーラ」を摂り、人心地つく。こういうときカフェインは効果ある。一種のドーピングだな。
16時頃 駐車場に戻り出発。
平湯温泉の「神の湯」(平湯発祥の温泉とのこと)へ向かう。
お湯最高!! ひたすら膝回りをマッサージする。ダメージが一番ひどく出るのが分かっているからだ。何せ鵞足炎だからね。
「神の湯」鄙びた露天温泉の好きな人にはお勧め。もちろん男女別。
17時過ぎ。
温泉から上がってもあまり汗が出ない。依然トイレに行きたくならない。もう12時間行っていない。明らかに脱水で、結構飲んでいるのだがまだ正常値まで戻せてないようだ。途中のスーパーでクリームパンを食べ、飲むヨーグルト、コーラ500cc、緑茶500ccを買い、補給しながら走行し、高速に乗り、20時頃 関SAで食事。フードコーナーで水を何杯もお代わりして飲み、やっとトイレに行く。ここまでで1リッター強水分は摂ったはず、しかし尿量は少ない。結局この後家までトイレに行くことは無かった。ただ、車の中で少し汗が出始めたのに気づく。22時20分頃自宅着。
今回車の燃費はよく伸びて、過去最高、リッター12.9キロ走行。満タンで出発して、給油することなく720キロ強を走りきった。満タンで830キロ走れる勘定である。これも達成感ある。
帰宅後、粉をとかしてスポーツドリンクを作って、500ccを少しづつ飲んで寝た。今朝の感じでは平常の状態に戻った様である。給水、行動食補給は十分理解していたつもりだったが、今回間違ったのは事実。
西穂高往復の際の水の携帯量を倍にし、西穂山荘に戻った際に、十分な給水と行動食摂取を行えば、良かったと思われる。行動できなくなるというような事には陥らなかったが、今後十分気をつけたい。
悲しい事に、西穂山荘のテント場で隣になり、ご挨拶をして行動予定も私と同じで、実際、独標まで私と
前後して行動されていた方が、行方不明になられました。独標では、カメラを交換して互いに記念写真を撮りました。独標からは私は先行しました。
彼は、私と同じく西穂頂上直下の雪のトラバースを考慮してピッケルを携帯されていました。その用意からして不用意であったとは思いませんし、ルートの状況
の情報収集も行っておられたと思います。したがって、不用意な登山者の事故ではないと思います。それが私であって彼でなかった可能性も十分あるでしょう。
今、非常に複雑な気持ちです。
独標から上は、上級者コースとされているのは、良く知られてます。
さらに現在雪解け直後であるので、浮石が多数あり慎重な動きが必要です。
凍り付いて浮石がコンクリートされている時期とは別のリスクがあると理解すべきでしょう。落ちるべきものが落ちきるまでは、夏山時期より更にリスクは高い
と言えるでしょう。
しっかりしたホールドやスタンスに見える大きな岩が叩いたり蹴とばしてみると、虚ろな音がする(つまり浮いている)状況でした。ガレもずっと崩れやすい。
この状況は想定していたことでした。
私は難場では、叩いたり蹴ったりして確認して体重を預けました。またそっと加重することも大事です。でないとしっかりしてそうな岩がすっぽ抜けて一緒に転
落する可能性もあります。
みなさんご安全に!
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コメント
私も5/29~30に西穂にいました。
ちなみに5/29の朝一番のロープウェイでその日のうちに西穂山頂まで、西穂山荘で泊まって5/30の朝一番のロープウェイで帰りました(5/30の6時前、霞沢岳がきれいだったのでテント場とセットで写真を撮った際、貴殿も一緒に写っていました。アップの仕方知らないんで申し訳ない。)。
始めての北アルプス。装備といったらアイゼンぐらいのもので、当初独標までのつもりが、なんだかんだで西穂山頂まで行ってしまいました(雲が多く、槍は見えませんでしたが、北アルプスのすごさは充分感じ取りました)。
5月末とはいえ、あまり登る人いないのですね?独標より先お会いした登山者は一人です(山頂や山荘ではいろいろお世話になった方です)。
登るのはいいんですけど、問題は帰りです。もう一人の登山者は先に下山したし、
太ももも、痛くなったし・・・。
さあ、どう下りようか・・・。
とにかく開き直って、一歩一歩ゆっくりと下りてきました。
独標まで2時間ぐらいかかったかな?恐怖感は確かにありましたが、それ以上に奥穂方面の黒光りする(ように見えた)岩肌の威圧感と笠が岳の輝きに、そして今ここには自分一人しかいないというその状況に、何かすごく感動してしまいました。
次の日、ロープウェイ乗り場の展望台に行ってみると、ピーカンの青空で槍から乗鞍まできれいに見え、今日登ればよかった!と後悔しながら帰ったのですが、こんな事故が起きてるなんて・・・。
わかんないものですね、ピッケルなんて持ってない装備不十分・アルプス初心者で、こんな時期に登山する自分が戻ってこれて、片や・・・、反省してます。
しかし、アルプスが自分に見せてくれたその表情にすっかり虜になってしまった私は、その後たて続けに2回行きました(住んでるとこ、九州なんで遠いんですけどね)。
もちろん、レベル考えて燕~常念、五竜~唐松にしましたけど。
今後は、身の丈考えた上で、そこから経験積んで、登山のレベルあげていこうと思います。
勉強になりました。
投稿: toshi | 2010/09/08 00:42
toshiさん コメントありがとうございます。感動された状況共感できます。普通では来れないところに1人で居る、というのは山行の感動の要素だと思います。
西穂に行けて、五竜ー唐松も行けたなら一般コースは問題ないと思います。
近所のすぐエスケープできる様な山で、自分の耐久力を試されたら良いと思います。限界値やその時の体感が把握できていれば、安全度が増します。
どこかの山で行きあったら是非お声かけ下さい。(意外に行き会うことってあるんです)
投稿: 管理人 | 2010/09/15 11:32